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名簿 買取の正しい知識

この事業の第フェーズのネット・キャッシュフローは以下のように予想されている。 この事業は非常にリスクが高いので、割引率を20%とすると、NPVは次の式からマイナス5、45億円となる。

新事業は技術革新が激しいので、第1フェーズだけでは終わらず3年後には新技術を取り入れるために、第2フェーズの投資が必要になる。 現時点では、第2フェーズの投資額は第1フェーズの倍の200億円になり、ネット・キャッシュフローの現在価値(3年後の投資時点)は180億円で、第2フェーズもNPVはマイナス(20億円)になると予想されている。
しかし、新製品の市場が予想以上に急拡大すれば、第2フェーズで予想以上のキャッシユフローが生まれ、NPVがプラスになる可能性もあると予想されている。 このように、現時点の予想では、新事業の第1フェーズ、第2フェーズともNPVはマイナスなので、投資するに値しないと判断される。
3年後には、第2フェーズ投資のNPVの見通しがはっきりするが、その時点では、すでに市場シェアは競合会社にとられてしまうので、新事業参入の時期としては遅すぎる。 このため、新事業に参入するのであれば、第1フェーズの段階で参入しなくてはならない。
このような場合、第1フェーズの投資は、第2フェーズの投資をおこなうコール・オプションに相当すると考えることができる。 第1フェーズの投資をおこなっておいて3年後に第2フェーズ投資のNPVがプラスになると予想されるのであれば、投資をおこなえばよいし、そうでなければ第2フェーズの投資をおこなわず、新事業から撤退すればよいのである。
したがって、オプションのフレームワークを用いると、第1フェーズの投資をおこなうか否かは、第2フェーズの投資をおこなうオプションの理論価格が5、45億円(第1フェーズのNPVのマイナス値)よりも高ければ、第1フェーズの投資をおこなう価値があるということになる。 では、第2フェーズの投資をおこなうオプションの理論価格を計算してみよう。
第2フェーズ投資の3年後時点で現在価値(PV)が180億円で、割引率が20%なので、現時点でのPVは180:1、23104、16億円になる。 したがって、原資産の価格(第2フェーズ投資のPV)が104、16億円の場合、満期3年、行使価格200億円のオプションの価格がいくらになるかを計算すればよい。
原資産(第2フェーズの投資)はきわめてリスクが高いので、その標準偏差を35%、無リスク金利を5%として、ブラック・ショールズ・モデルを用いるとオプションの価値は以下のように計算される。 以上の計算から、第2フェーズの投資をおこなうオプションの理論価格は9、03億円となる。
したがって、第フェーズの投資のコスト(PVのマイナスの値)5、45億円はオプションの理論価格より小さくなるので第1フェーズの投資をお。 こなったほうがよいという結論になる。
ここで注意すべきことは、現時点の予想では、第2フェーズ投資のNPVはマイナスになるが、それにもかかわらず、その投資をおこなうオプションの価値は9、03億円になるということである。 これは第2フェーズ投資のキャッシュフローの不確実性がきわめて高いと考えて、投資価値の標準偏差として、リスクの高いハイテク企業の株式並みの35%を採用したためである。
かりに標準偏差を20%と想定すると、ブラック・ショールズ・モデルを用いると、オプシヨンの価値は1、51億ドルと計算されるので、第1フェーズの投資をおこなうべきではないという結論になる。 このように将来の不確実性の高い事業であればあるほど、高い収益をあげる可能性も高まるので、その前の段階の投資が持つオプション価値が高まるのである。
3、2遅延オプション。 企業が投資を検討する場合、現時点ではキャッシュフローやNPVの見通しが立たないが、実施時期を遅らせるとNPVの予想が明らかになるので、投資の実施を遅らせるというオプシヨンも存在する。

ここでは、単純な仮想例について、二項モデルを用いて、遅延オプションの評価をおこなってみよう。 ある企業が、投資額220億円の新商品事業を検討している。
新商品の市場が拡大する確率は50%で、その場合は毎年25億円のキャッシュフローが続くが、市場がそれほど拡大しない確率も50%あり、この場合は毎年のキャッシュフローは15億円になると予想されている(計算の単純化のため、キャッシュフローは永久に生まれると仮定する)。 まず、投資の現在価値(PV)を求めてみよう。
割引率を10%とすると、キャッシュフローの期待値のPVは、25XO、5・15XO、5となり、投資額220億円より少ないので、投資はおこなうべきではないという結論になる。 そこで1年後に投資をおこなうかどうかを決定することにする。
単純化のために1年間投資を遅らせても、投資額とキャッシュフローの予想シナリオは同じとする。 ただし1年後に投資をすぐに実行するためには、今期に技術ライセンス料やマーケテイング費用など10億円を支出しなければならないとする。
この場合、現在10億円支出して、投資を1年遅らせるということは、現在200億円の価値がある原資産(投資案件)を1年後に行使価格220億円で買うコール・オプションを10億円で買うということを意味する。 このオプションの理論価格を二項モデルを用いて計算してみよう。
まず、図157が示すように、原資産(投資案件)の価値は現在200億円であるが1年後の価値は、市場が拡大するときは250億円(毎年25億円受け取る永久定額年金の現在価値)、それほど拡大しないときは150億円(毎年15億円受け取る永久定額年金の現在価値)となる。 そして、このオプションは行使価格(投資額)が220億円なので1年後のオプションの価値は、市場が拡大する場合は釦億円、拡大しない場合はOとなる。
投資家がリスク中立であると仮定し、原資産の収益率がプラスになるリスク中立確率を計算してみよう。 そのために、市場が拡大する場合、拡大しない場合の原資産の1年間の収益率を次のように計算する。

市場が拡大する場合のトータルリターン1年後のキャッシュフロー・1年後の価値投資家がリスク中立であると仮定し、原資産の収益率がプラスになるリスク中立確率をPとすると、原資産の期待収益率が無リスク金利5%になるので、これを解くと、P0、409となる。 オプシヨンの理論価格が1年間の支出額10億円より大きくなるので、この投資は年実施を遅らせたほうがよいという結論になる。
以上の例では、単純化のために、投資を1年遅らせても1年後の投資額とその後生まれるキャッシュフローの現在価値は変わらないと想定したが、実際にこの手法を利用する場合には、投資を年遅らせることによる投資額や投資の現在価値の変化を織り込んで計算する必要があろう。 3圃3リアル・オプションの意義以上、紹介したような投資案件に関するオプションは実物資産の投資に対するオプションという意味で、リアル・オプションと呼ばれる。

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